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燃え殻・ばいじんはどう処分する?現場実務に基づく処理ルートの選び方

焼却施設やボイラー設備などを運用している事業場では、産業廃棄物である燃え殻・ばいじんが発生します。
近年では、最終処分量の削減や環境負荷低減の観点から、再資源化(リサイクル)の処分方法を希望されるケースが増えています。
本記事では、燃え殻・ばいじんの概要を整理したうえで、再資源化を含む処分方法と、実務上のポイントを分かりやすく解説します。
この記事の執筆者
共同技研株式会社 営業チーム
燃え殻・ばいじんとはどのようなものか
燃え殻とは
燃え殻とは、廃棄物を焼却した後に、焼却炉内に残る灰状の物質を指します。ボトムアッシュ(BA)とも呼ばれます。 焼却対象物や燃焼条件によって性状は異なりますが、無機物を主体とし、金属成分や鉱物成分を含む場合があります。
具体的には、次のようなものがあります。
- 製造工程で発生する可燃性廃棄物を自社焼却した際の焼却残渣
- バイオマス燃料(木質チップ・PKS等)を燃焼した後の燃焼灰
ばいじんとは
ばいじんは、焼却や燃焼の過程で発生した微細な粒子が捕集されたものです。フライアッシュ(FA)とも呼ばれます。 粒径が非常に細かく、「飛散しやすい」「重金属などを含有する可能性がある」といった特性を持つため、燃え殻に比べて、より慎重な取扱いが求められます。
代表的な例としては、次のようなものがあります。
- 大気汚染防止法に定めるばい煙発生施設で発生したバグフィルター捕集ダストや石炭灰
- 産業廃棄物焼却施設で発生した集じん器捕集ダスト
【参考サイト】環境省「大気汚染防止法の対象となるばい煙発生施設」
https://www.env.go.jp/air/osen/law/t-kise-0.html
再資源化する処分方法
近年では、最終処分量の削減や環境負荷低減の観点から、単なる処分ではなく、再資源化(リサイクル)を前提とした処分のご相談が増えています。 主な再資源化方法には、以下のようなものがあります。
処分コストの目安としては、一般的な傾向として「固化・安定化」→「セメント原料化」→「溶融処理」の順に処分コストが高くなることが多く、 金属回収は有用金属の含有量や選別工程の内容によって大きく変動します。
1. 固化・混錬処理後の土木資材利用
ばいじんや性状が不安定な燃え殻については、セメント系固化材などを用いた固化処理や、他の廃棄物との混錬処理が行われることがあります。 これらの処理により、飛散や重金属の溶出を抑制するとともに、物性を安定させることで品質の向上が図られ、一定の条件を満たす場合には土木資材としての利用が可能となります。
特に、路盤材や埋戻し材として使用する場合には、重金属の溶出量および含有量について慎重な確認が求められます。この処理ルートは、他の処分方法と比較して処分コストが比較的抑えられる傾向にあります。
2. セメント原料としての再資源化
燃え殻に含まれる石灰分・ケイ酸分・アルミナ分などの無機成分は、セメント製造に必要な原料と親和性が高く、条件を満たす場合にはセメント原料として再資源化されます。
セメント工場での処理については、発生物の性状や成分によって、処理ルートが異なります。
成分が安定しており、受入基準に適合する場合には、セメント工場へ直接搬入できるケースもあり、この場合は処分コストは比較的抑えられる傾向にあります。
一方で、成分調整や異物除去などが必要な場合には、中間処理施設にて前処理(成分調整・混錬等)を行ったうえでセメント工場へ搬入する流れとなります。この場合は工程が増えるため、処分コストは中程度となるケースが一般的です。
3. 溶融処理によるスラグ化
おおむね1,200℃以上の高温で溶融処理を行い、冷却・固化することで、ガラス質または結晶質の溶融スラグの生成が可能となります。
生成された溶融スラグは、品質基準を満たせば、
- 道路用路盤材
- 埋戻し材
- 建設資材の原料
などの土木建築資材として再利用されます。重金属の溶出リスクが少なくリサイクル製品としての安定性が高いですが、処分コストは高めとなる傾向があります。
4. 金属成分の回収・再利用
燃え殻・ばいじんに含まれる鉄や非鉄金属を、
- 磁選などによる鉄分回収
- 選別工程による金属資源の回収
によって回収し、再資源として活用する方法です。
処理コストは有用金属の含有量によって大きく異なります。金属回収後に残る部分は、別途リサイクルまたは適正処分が行われます。
再資源化が難しい場合の処分方法
すべての燃え殻・ばいじんが再資源化できるわけではありません。例えば、
- 重金属含有量や溶出量などの性状が、再資源化基準を満たさない場合
- 処理コストや受入条件が合わない場合
などには、リサイクル以外の処分方法が選択されます。
1. 管理型最終処分場での埋立処分
埋立基準に適合する場合は、管理型最終処分場での埋立処分が可能です。
ただし、乾燥状態のばいじんは飛散しやすいため、無対策のままでは受入不可となるケースがほとんどです。
そのため実務上は、
- 加湿処理を行い、飛散を抑制する
- フレコンバッグ等に袋詰めした状態で搬入する
といった飛散防止措置を講じたうえで埋立処分を行う必要があります。 処分場ごとに受入条件が異なるため、事前に受入可能な性状や荷姿について確認することが重要です。
2. 安定化処理(前処理)を経て埋立する
重金属の溶出量が高いなどの理由で、特別管理産業廃棄物に該当する可能性がある場合や、埋立基準を満たさない場合には、 安定化処理施設で前処理を行い、基準に適合させたうえで管理型処分場にて埋立処分することがあります。
処分方法検討のポイント
実際に、燃え殻・ばいじんの処分方法を検討する際には、次のような点を踏まえ、総合的に判断することが重要です。
- 対象物の性状
- 処分コスト
- 再資源化のご要望
- 処分可能先の有無や受入状況
また、近年では、気象災害による運搬ルートの寸断や、処理施設における事故・トラブルなどの影響により、 一時的に処分先へ搬入できなくなるケースも見られます。
安定した処分業務を維持するためには、特定の処理方法や施設に依存することなく、 複数の処理ルートをあらかじめ確保しておくことが重要です。
共同技研の産業廃棄物処理サービス
共同技研では、燃え殻・ばいじんの収集運搬をお引き受けする際、
- 発生工程や保管状況のヒアリング
- サンプルや分析表による成分・溶出状況の確認
- 処理先の受入状況を踏まえた処理ルートの検討
を行い、法令遵守と安定的な処分体制を両立できるご提案を心がけています。
燃え殻・ばいじんの処分方法や処理ルートの検討でお悩みの際は、 現場実務を熟知した収集運搬業者として、ぜひ共同技研までご相談ください。


