産業廃棄物の処理委託契約書が変わります！2026年改正をやさしく整理しました

改正の概要と背景

2025年に行われた廃棄物処理法施行規則の改正により、産業廃棄物の処理委託契約書（収集運搬・処分）の記載事項が一部見直されました。具体的には、PRTR法の対象となる第一種指定化学物質に関する情報を、処理業者にも分かりやすく伝えることが求められています。

今後は、排出事業者は「どのような化学物質を、どの程度含んだ廃棄物を委託しているのか」を、委託契約書や別紙等により明確に示す必要があります。
小さな記載漏れや情報不足が、将来的なトラブルや行政指導につながる可能性もあるため、早めの準備をしておくと安心です。

対象となる事業者と廃棄物

1. 対象となる事業者

今回の改正が直接関係するのは、PRTR法における「第一種指定化学物質等取扱事業者」に該当する事業場です。
一定量以上の対象化学物質を取り扱い、PRTR届出の義務がある製造業・化学関連・金属表面処理・塗装・印刷・洗浄工程を持つ事業場などが該当します。

2. 対象となる廃棄物

上記の事業場から排出される産業廃棄物のうち、第一種指定化学物質が含まれる、または付着しているものが対象です。
目安となる含有率は、第一種指定化学物質で「1％以上」、特定第一種指定化学物質では「0.1％以上」とされています。

委託契約書に追加される記載内容

1. 新たに求められる主な記載事項

2026年1月1日以降に締結・更新する処理委託契約書では、次の内容を明確に記載する必要があります。

• 第一種指定化学物質が含まれる（または付着している）旨
• 化学物質の名称
• 化学物質の量または割合

2. 標準様式における条文

公益社団法人全国産業資源循環連合会が提供する標準様式において、以下の改訂条文が公表されています。 

排出事業者が準備すべきポイント

1. 化学物質の把握

SDS（安全データシート）の確認や、工程で使用する薬品・溶剤の棚卸しを行い、排出される廃棄物に含まれる化学物質の把握を行います。必要に応じて、分析の実施を検討することも有効です。

2. 契約書＋化学物質情報の提供準備

第一種指定化学物質に関する情報は、契約書に記載、またはWDSなどの書面（形式は自由）で整理して提示できるよう準備します。

3. 運搬業者・処分業者との情報共有

別紙のフォーマットや提供方法（紙・PDF・Excelなど）、契約更新のタイミングを事前にすり合わせ、スムーズに運用できる体制を整えます。

まとめ

今回の改正は、排出事業者にとって、自社の廃棄物をより安全に、透明性の高い形で管理するための仕組み強化といえます。廃棄物に含まれる化学物質の情報を整理しておくことで、法令遵守だけでなく、環境リスクの低減や労働安全の向上にもつながります。

共同技研では、産業廃棄物の収集運搬に加え、処理委託契約書の作成サポートにも対応しています。
「うちの廃棄物は今回の改正に該当するのか？」「どのように情報提供すれば良いのか？」など、気になる点がありましたら、どうぞお気軽にご相談ください。